今回は前回に引き続き、声の通り道を邪魔する
1,鼻腔・喉の周辺の筋肉
2,喉仏
3,舌
4,上顎(柔口蓋←なんこうがい、口蓋垂←こうがいすい)
の説明を詳しくさせていただきます。
まずは「1,鼻腔・喉の周辺の筋肉、2,喉仏」から説明していきましょう。
今まで歌のレッスンやボイストレーニングを習った事がある人は「喉が閉まっているから解放して!」と言われた事があると思います。
この説明だけでは、イメージがつかない人も多いので、もう少し分かりやすく説明すると、
「声の通り道である喉の空間が狭いと、声が体外に出ていくのを邪魔されて上手く発声できないので喉の空間を広げて下さい。」という意味になります。
声は音波です。
喉の空間が狭まっていると、まるで口に手を当てて歌っているかのように、どんどんボリュームが削られていくのです。
そして、喉の空間を広げる為には喉仏を適正な位置まで下げる必要があります。
(※喉仏を適正な位置に保つ事に関しては、とても大切なボイストレーニングの要素なので別コラムで詳しく説明させていただきますね。)
今は「喉仏が上がりすぎると喉の空間が狭まり声が詰まってしますから、適正な位置まで下げないといけないんだ・・・」とだけ頭に入れておいて下さい。
また鼻腔も声の通り道です。
その鼻腔が狭まっていれば同じようにボリュームが削られてしまいますので、こちらも空間を広げる必要があります。
ではどのようにすれば鼻腔や喉を解放・空間を広げる事ができるのでしょうか?
一番簡単にイメージを掴むのは「アクビ」をするようにゆっくり大量の空気を吸込む事です。
人間の体というのは良くできている物で、体がアクビのように大量の空気を吸込む必要がある時は自然と鼻腔・喉の空間が広がり喉仏も下がります。
早速トレーニングを一つ紹介しましょう。
まずは、アクビをするように息を吸い込んで下さい。
できれば鼻・口両方から息を吸い込むようにして下さい。
力を入れ過ぎず、鼻腔・喉の空間を広げ喉仏も軽く下げるように意識して下さい。
そして、そのまま吸った息を体外へ出すように「ホォ~」と発声をしてみて下さい。
ここでいくつか注意点があります。
まず1つ目が息を吸った時、息を止めずにそのままの流れで息を吐き出すように発声して下さい。
息を一度止めてしまうと、声の通り道のどこかをキュっと閉じてしまうのです。
せっかく拡張した空間を一度閉じてしまってはこのボイスイトレーニングの効果が激減してしまいます。
絶えず、息を流し続ける。体外から体内へ取り組んだ空気を声に変換し、そのまま体外に返し循環させるイメージを持って下さい。
そして2つ目ですが、「ホォ~」と発声する時に息っぽくならずにしっかり声に変換して下さい。
(※声の変換に関してもまた別のコラムで詳しく説明させていただきますね。)
3つ目が必要以上に力を入れ過ぎない事です。
アクビをするように鼻や喉を解放して下さいと言うと、必要以上に力を込めてしまい、声帯が厚くなりがちになります。
(※声帯の働きに関しては別のコラムで詳しく説明させていただきますね)
しかも共鳴が極端に下に落ちやすいので声を飲み込んでしまい、声がが出にくくなるケースもありますので注意して下さい。
喉仏を必要以上に下げ過ぎてしまうのも同じく不適切なので注意して下さい。
なので、必要以上に力は込めず、あくまで自然に軽くアクビをする感覚でこのトレーニングをする事を心がけて下さいね!
1982年(昭和57年生まれ)
アーティスト活動を続ける中、日本・海外流問わず様々なジャンルのボイストレーニングを習得する。
その後、日本では最大数のボイストレーナーを抱える大手ボーカルスクールの統括として働き、現場で生徒さんにボイストレーニングを教えるボイストレーナーへの指導も行う。
今まで指導してきた生徒数は300人を超える。