今回は意外と質問の多かった
「そもそもボイストレーニングとは何なのか?」
「ボイストレーニングとはどんな事をするのか?」
「ボイストレーニングをする事によって歌声がどのように変わっていくのか?」
という根本的な質問に対してボイストレーナーの立場からお答えできればと思います。
そもそもボイストレーニングというのは
「あなたの声の出し方を、歌をうたう上で安全かつ適切なフォームに近づけるトレーニング」
の事を意味します。
私が書いているコラムの
「発声の基本」
というカテゴリーの中でも触れていますが、声というのは肺から送られてくるブレス(息)を声帯に振動させて声の元や音程を作りだし、それを体内で共鳴させて音量や音質を変化させていきます。
(※ちなみに舌や唇などで母音や子音を作り出していきます。
母音や子音を適切に作るのは「滑舌トレーニング」と呼ばれています。)
その一連のプロセスを安全、かつ適切に行えるよう、様々なアプローチ・トレーニングで導いていくのがボイストレーニングという訳です。
少し分かりにくいかもしれないのでまとめますと
声を出す上で安全かつ適切な
1、声帯の動かし方を学び(声帯トレーニング)
2、声を共鳴させる方法を学び(共鳴トレーニング)
3、ブレス(息)をコントロールし、発声をする方法を学ぶ(ブレストレーニング)
この3要素がボイストレーニングとなります。
(※ボイストレーニングとは角度が違うのですが、歌を上達させる上で他に
1、音感トレーニング
2、リズムトレーニング
3、歌唱トレーニング
があります。
こちらに関しては「さらにあなたの歌を上達させる為のトレーニング」で説明させていただきますね。)
ここで注目していただきたいのが、「安全かつ適切に」というフレーズを使わせていただきましたが、ここが結構重要なポイントです。
詳しく説明しますと、
「安全かつ適切に歌をうたう」とは
「長時間歌っても声帯を傷つけにくい、かつ、あなたの歌声のポテンシャルを最大限引き出す為の正しい発声で歌をうたうという」意味です。
どういう事かと言いますと、テレビに出演しているようなプロのアーティストの中にも声帯にかなりの負担をかけて歌っているアーティストって実は多いんですよね。
高音部分になると、叫びあげるような歌い方になり首筋にも血管が浮き出ているような歌い方が代表的な例です。
それでもみなさんのご存じの通り、いい歌をうたわれたり、多くの人を感動させたりと素晴らしい音楽をされていますよね。
それはそれで素晴らし事だと思います。
また、歌のフレーズの中には訴えかけるような、一生懸命苦しそうに歌う方が聞き手を感動させる時もあります。
そういう時にわざとコントロールをして、叫びあげるような歌い方をする事は私も有りだと思います。
しかし、そのようにしか歌えない。
コントロールができないというのは大問題です。
そういう方は、歌うたびに声帯に過剰な負担をかけて喉を傷めてしまったり、声帯にポリープができてしまったりと深刻な症状を引き起こす場合も多いです。
そして、声帯に過剰な負担を与える発声法では声帯のコントロールが難しく、自由自在に歌う事ができず表現力に幅がなかったり音程を外しがちになります。
また、歌声の元を作り出す声帯は人によって性質が違うのです。
この点を理解しておく事もあなたの歌を上達させる手助けになります。
少し長くなってきましたので続きは次回で説明させていただきますね!
1982年(昭和57年生まれ)
アーティスト活動を続ける中、日本・海外流問わず様々なジャンルのボイストレーニングを習得する。
その後、日本では最大数のボイストレーナーを抱える大手ボーカルスクールの統括として働き、現場で生徒さんにボイストレーニングを教えるボイストレーナーへの指導も行う。
今まで指導してきた生徒数は300人を超える。