こんにちは、ボイストレーナーのKです。
今回のコラムでは、「歌が上手くなりたい!」と思い、ボイストレーニングをはじめる方の中で以外と軽視されがちなリズムトレーニングの重要性について私の実体験も踏まえながら書かせていただきます。
私もボイストレーナーとして数多くの生徒さんを指導していきたのですが、リズムトレーニングの指導になると、「それよりも高い声を出すトレーニングがやりたいです。」とか
「もっと自分の声に迫力を出すトレーニングをやりたいです。」と言った意見が多く出てきます。
しかも、R&Bなどリズムを重視する音楽以外を練習している方で真面目で真剣にレッスンを受けている生徒さんほどその傾向は強くなってきます。
(最近は日本のR&Bと呼ばれる音楽もかなりPOPSの要素が取り入れられているので、R&Bを上手くなりたいという生徒さんも発声よりのトレーニングを希望する傾向が強くなっています。)
中には、声を出さないトレーニングもあり、ボイストレーニング中級者以上がより、歌を上達させるためには声を出さないトレーニングを積極的に取り入れていく方が効果的である場面もたくさんあるのです。
その一つがリズムトレーニングという訳です。
実は、これは私がボイストレーナーになる前にボイストレーニングの勉強をしていた時、かなり強く感じた時期がありました。
その当時、すでに4年近くボイストレーニングを勉強していました。
高音もプロアーティストレベルに出る。
声の共鳴も十分で、迫力もある。
歌唱トレーニングも積み、様々な歌い回しも勉強してきた。
でも、まだ自分の歌に納得がいかないんですよね。
本格的に歌が上手いプロの歌い手さん達と自分の歌を比較するとどこが違う。
一言でいうとその当時の私の歌は「なんかいまいち」だったのです。
でも、どこが原因で自分の歌がいまいちなのかが分からない。
ボイストレーニングの勉強もかなりして、スキル的にも自信がある。
どこがいまいちなんだろう~って考えた結果、自分がリズムトレーニングを軽視していた事に気付きました。
そうなんです。
私も先にあげた、リズムトレーニング軽視し、ボイストレーニング=声を出すというイメージが強く頭に印象づいていたのです。
「自分の歌が今以上に上達する可能性があるなら騙されたと思ってリズムトレーニングに集中してみよう」
と決意し、その日からリズムトレーニングに励みました。
するとどうでしょう。
自分が考えていた以上にリズムがとれないのです。
何度も練習していた曲ですら、自分の頭の中にあるリズムと実際のリズムとではズレがかなり生じているのです。
これはいかんと思い、同じ曲を100回、200回と聞き伴奏のリズムと歌メロのリズムを徹底的に体にたたきこみました。
すると、少しずつではありますが、歌が今までとは違った感覚で捉えられるようになってきたのです。
今までは声量や声質、母音・子音のニュアンス、ビブラートなどで曲の表情をつけていたのですが、リズムで曲の表情をつけられるようになってきたのです。
それどころか、曲の全体像を掴みやすくなり、今までリズムにしがみついて歌っていたという印象がリズムに乗り、音楽を楽しみながら歌をうたうというイメージに変化していったのです。
その感じを掴んでから自分の歌が本格的に上達していったのを実感しました。
以上が私の実体験も踏まえて歌を上達させる上でのリズムトレーニングの重要性です。
次回からは具体的なリズムトレーニングの方法を書かせていただきますので楽しみに待っていてくださいね!
1982年(昭和57年生まれ)
アーティスト活動を続ける中、日本・海外流問わず様々なジャンルのボイストレーニングを習得する。
その後、日本では最大数のボイストレーナーを抱える大手ボーカルスクールの統括として働き、現場で生徒さんにボイストレーニングを教えるボイストレーナーへの指導も行う。
今まで指導してきた生徒数は300人を超える。