こんにちは、ボイストレーナーのKです。
今回は前回に引き続き、
「趣味で音楽を楽しみたい人向けのボーカルスクール」の短所
について書かせていただきますね。
~このコラムから見た人の為に~
もちろん、「趣味で音楽を楽しみたい人向けのボーカルスクールにもいい所は
たくさんあります!そちらも紹介させていただいているので、まだお読みで
ない方は是非、合わせてそちらも読んでみてください!
趣味で音楽を楽しみたい人向けのボーカルスクールの長所について
前回のコラムの最後に
「ボイストレーナーという世界はその職についてから勉強しにくい環境にある」
と書かせていただきました。
趣味で音楽を楽しみたい人向けのボーカルスクールの短所について
その理由を詳しく説明させていただきますね。
もちろん場所にもよりますが、ボイストレーナーの雇用形態は
「業務委託」という形態がほとんどです。
「業務委託」という言葉を知らない方のために簡単に説明しておきますと、
「1レッスンする度に●円あなたに差し上げます」という形態なんです。
考え方にもよりますが、アルバイトよりも過酷な環境だと考えてくださっても
大きく間違っていないでしょう。
例えば、13:00~22:00の9時間、ボーカルスクールに勤務していても
レッスンをしなければ1円も稼ぐ事ができないのです。
その中でボイストレーナーというのはある意味人気商売の側面を持っています。
数いるボイストレーナーの中から、生徒さんに「この先生のレッスンを受けたい!」
と指名されなければならないのです。
他の講師を指名されては、生活ができなくなってしまうのです。
なので、ボイストレーナー同士の知識やスキルの共有が起こりにくいのです。
(他のボイストレーナーのスキルや知識が上がり、自分の生徒さんがそっちに
逃げてしまうのを恐れるためです。)
そして実は、みなさんにとっては驚きかもしれませんが、
全国展開しているようなボーカルスクールはボイストレーナーを
教育できるだけのボイストレーニングの知識を持いる場所が少ないのです。
という事は、ボイストレーナーが自分の知識とスキルを高めようと
思うと、職場以外の場所で自分のお金を払って学ぶしかないのです。
しかし、ボーカルスクールに勤めているボイストレーナーの収入は
高くないケースが多いのです。
もちろん場所にもよりますが、1レッスンに対して900円という価格設定が多いのです。
という事はボーカルスクールに勤めるボイストレーナーの収入は
「900円×レッスン数」になるので、月間に200レッスン行っても
18万円にしかなりません。
(1レッスンあたり50分~1時間が主流なので、レッスンの準備の時間も
合わせて200レッスン=200時間働くと思っていただいていいでしょう。)
そして、ボイストレーナーの雇用形態は業務委託です。
詳しくは説明しませんが、業務委託で得た収入の10%は
天引きされてしまいます。なので手元に残るお金は16万8千円程度なのです。
みなさんにより深く理解していただくための一例ではありますが
月間200時間程度働いて、16万8千円程度の収入の中、
自分のプライベートな時間とお金を支払いボイストレーナーのスキルと知識を
高めようとする人がどれだけいるでしょうか?
もちろん、中にはそんな環境の中でも、通ってきてくださる生徒さんのために
一生懸命知識とスキルを高めているボイストレーナーさんもいらっしゃいますが、
決して多い人数ではありません。
以上が「趣味で音楽を楽しみたい人向けのボーカルスクール」の
ボイストレーナー全体の知識とスキルがあまり高くない理由になります。
もちろん、「趣味で音楽を楽しみたい人向けのボーカルスクール」
全てに当てはまる訳ではありませんし、人によっては素晴らしい知識とスキルを
持っているボイストレーナーさんもいらっしゃいます。
職業柄、全国のボーカルスクールを研究した結果、この傾向が多いというだけです。
次回のコラムでは、ボーカルスクールに属さず、
個人でボイストレーニングを教えているボイストレーナーの
長所について書かせていただきます。
1982年(昭和57年生まれ)
アーティスト活動を続ける中、日本・海外流問わず様々なジャンルのボイストレーニングを習得する。
その後、日本では最大数のボイストレーナーを抱える大手ボーカルスクールの統括として働き、現場で生徒さんにボイストレーニングを教えるボイストレーナーへの指導も行う。
今まで指導してきた生徒数は300人を超える。