前回までは、歌を上達させる為に身につけておかなければいけない「発声の基本」について書かせていただきました。
今回は少し角度を変えまして、発声方法の種類について書かせていただきます。
このコラムに書かせていただいている内容を読んでいただき、「私はこのタイプに近いのかな~」と大まかにでも理解していただければ、歌の上達の大きな手助けになりますので参考にして下さい。
それではいきますね。
発声方法と一言で言いましても様々な要素がありますので、今回は比較的みなさんでも耳で聞いて分かりやすい部分を説明させていただきます。
邦楽、洋楽、音楽のジャンルを問わず大きく分ければ発声方法は
1,ハリのある強い歌声を作る発声
2,丸みを帯びたまろやかな発声
の2つに分ける事ができます。
みなさんが理解しやすいように邦楽の有名なアーティストを挙げてみましょう。
「1,ハリのある強い歌声を作る発声」を主に使用しているのはB'zの稲葉さん、ミスチルの桜井さんなどが挙げられます。
「2,丸みを帯びたまろやかな発声」を主に使用しているのはEXILEのATSUSHIさん、平井堅さんなどが挙げられます。
「1,ハリのある歌声を作る発声」を主に使用しているのは椎名林檎さん、globeのkeikoさんなどが挙げられます。
「2,丸みを帯びたまろやかな発声」を主に使用しているのはアンジェラ・アキさんや宇多田ヒカルさんなどが挙げられます。
(※例に出させていただいたアーティストさん達は高い発声技術を持っていますので、両方の発声を使いこなす事ができますが、主に使用している発声方法の違いで選ばせていただきました。)
(※もっと詳しい分け方をすると、上記に挙げたアーティストさん達も違う分類ができるのですが、今は大枠で捉えてください。)
この2つの発声方法の違いは声帯の使い方や喉仏の位置。
共鳴のかけ方やブレス(息)のコントロールによってある程度コントロールできるのですが、生まれ持った声帯の使い方や普段のしゃべり声のフォームなども深く影響してきます。
要するに人によって得意な発声・不得意な発声があるという事ですね。
なので自分は
「1,ハリのある強い歌声を作る発声」の方が得意なのか?
「2,丸みを帯びたまろやかな発声」の方が得意なのか?
を理解してトレーニングを進める事も大切です。
自分の歌声を録音し、聞いてみて現時点で自分の歌声はどちらの方が近いか?
と判断し、それを意識しながら練習する事が非常に重要です。
もちろん、ボイストレーニングにより両方の発声をマスターする事は可能ですし、最終的にはそこを目指していただきたいのですが当然の事ながら苦手な発声を身につけるには時間がかかります。
なので、まずはどちらかを先に伸ばした方が早い段階で歌の上達を感じる事ができるようになるでしょう。
それでは次回はそれぞれの発声方法の特徴についてより詳しく書かせていただきます。
1982年(昭和57年生まれ)
アーティスト活動を続ける中、日本・海外流問わず様々なジャンルのボイストレーニングを習得する。
その後、日本では最大数のボイストレーナーを抱える大手ボーカルスクールの統括として働き、現場で生徒さんにボイストレーニングを教えるボイストレーナーへの指導も行う。
今まで指導してきた生徒数は300人を超える。